高齢者に危険な場所(1)
共用品九州発行メルマガに連載「共用色彩コラム」―2005年6月掲載
今日はちょっと最近の出来事から高齢者にやさしい環境について考えてみました。
先日の早朝、マンションの階段を一段踏み外し危うく捻挫しそうになりました。時間帯で自動消灯するようにセットされていて、朝5時に消えるのです。今の季節ですと朝5時は充分明るいのですが、
階段の踊り場付近は外の光が少ししか入らない構造なのです。
薄暗い中、私には最後の一段がフラットに見えたのです。
確かに年々視覚の衰えは感じながら、それでもまだまだそこまではないと思っている私ですが、それでも若い時に比べて確実に明るさの感度が落ちているのを感じます。
実は高齢視って早い人では40歳くらいからすこしづつ症状がでてくるのですよ。
高齢者は若年者のおよそ2〜3倍の照度が必要と言われていますが、実際照度を上げればかなりの高齢視の見え方を補助する事ができます。かと言って、すべての環境を煌々と明るくする必要はありませんし、 今度は眩しさに対応できないという高齢視のもう一つの特徴に悪影響を及ぼします。
危険を回避するために、情報を正しく早く伝えるために、必要なところに必要な明るさを確保してあげる事・・・「共用品(サービス)・共用色彩は、まずみんなの不便や危険に気づく事から」と改めて感じます。
高齢者に危険な場所(2)
共用品九州発行メルマガに連載「共用色彩コラム」―2005年7月掲載
今回は外に出て高齢者に危険な場所を検証してみました。
前回私は階段を踏み外した失敗を書きましたが、街にもやはり危険な階段がたくさんあります。
写真の階段は日中にデジカメで撮影したものです。
地下に降りる階段を上から見下ろした所ですが、いかがでしょう?
踏面が連続して見え、段鼻がわかりにくいですね。
高齢視の黄変化した目で見るともっと暗くなるはずですからまったく段の境目がわからなくなるでしょう。
高齢者は奥行き感も衰えてくるため、さらに階段歩行は危険度が増します。
高齢者の骨折は寝たきりにつながる恐れがありますから、考えるとぞっとしますね。
段鼻に色彩(色相差・明度差)でちょっと工夫すればそんな危険にさらされずにすみます。
高齢者に危険な場所(3)
共用品九州発行メルマガに連載「共用色彩コラム」―2005年10月掲載
街に出るといたるところにホンのちょっとした段差があります。
最近バリアフリー化が進んでいることがさらにその「ちょっとした」を増やして
いるような気がします。
いっそ大きな段差ならば誰でも気をつけて歩いているのですがほんの2cm〜3cmくらいは見た目にもわかりづらいですね。
そんなところで躓いて骨折でもすれば大変。寝たきりになる事さえあります。
そして意外と気がつかない危険なところ。
段差を無くそうと無理に後からつけたスロープ。変に急な角度がついていたり、横方向にも斜めになっていたりするとバランス感覚の低下しているお年寄りには危険です。
このようなわかりやすい視覚情報があるといいですね。
車椅子の人にも高齢者にもやさしいバリアフリー。
*写真はジュンク堂書店(福岡)